寺子屋子ども食堂が必要な理由
子どもの貧困問題
日本の子どもの貧困率は、OECD加盟33か国の中で最も高い数字です。
日本の子どもの貧困率は、16.3%
ひとり親世帯の貧困率は、54.6%
※平成24年(2012年)時点
最低限の衣食住すらままならない「絶対的貧困」ももちろんのこと、衣食住を賄うのにぎりぎりな「相対的貧困」を余儀なくされる「子どもの貧困」は、深刻な問題となっています。
その背景には、景気の悪化による親の所得の減少やひとり親世帯の増加などが考えられます。
子どもの貧困によって、次のようなことが起こっています。
- 子どもに塾や習い事に通わせることができない
- 自分の部屋などで勉強に集中できる環境を作ることが難しい
- 経済的理由で進学を諦めざるを得ない
- 児童虐待
- 不登校や高校中退
これらの事象と同時に、子どもだけで食事をとる孤食や、場合によっては夕食がしっかりと摂れない、親が返ってくるまで子どもだけで過ごすといったことも起こっています。
こうした事情によって、教育格差、経済格差が広がっていきます。「子どもの貧困」が増幅することになれば、社会的損失の影響も非常に大きくなってきます。
この「貧困の連鎖」を断ち切るべく、子どもたちへの学習指導や進路指導、子どもたちに栄養のある食事の提供、子どもたちが安心して過ごすことができる場所の提供といった子どもたちの支援を主とした「寺子屋子ども食堂」は必要と感じています。
社会的な取り組み
「子どもの貧困対策の推進に関する法律」(平成26年1月17日施行)
「子供の貧困対策に関する大綱」(平成26年8月29日閣議決定)
貧困問題については、一部の専門家や専門職のなかでは議論されていましたが、この数年で「貧困」に関する報道が増え、世の中の注目を浴びるようになってきました。
「子どもの貧困対策の推進に関する法律」では、「子どもの将来がその生まれ育った環境に左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備する」と明記されています。
「子供の貧困対策に関する大綱」では、「貧困の世代間連鎖の解消と積極的な人材育成を目指す」という基本方針のもと、約40項目の重点政策、25の指標が掲げられております。
どちらも、親から子への「貧困の連鎖」を断ち切る狙いがあります。
民間では、子どもたちに対して「学習支援」が行われていましたが、最近では「子ども食堂」というスタイルが全国各地に広まっています。
はじまりは、平成24年「きまぐれ八百屋だんだん」の一角に設置されたことで、「子ども食堂」の名が用いられたのもこの時からといわれています。
平成27年には、「子ども食堂」同士で横の繋がりを作り、食材や情報を連携することを目的として、「子ども食堂ネットワーク」が発足するにいたっています。
平成30年4月時点で、全国2286カ所に「子ども食堂」が増加し、発展しています。